今回は積算評価の話です。
なんで、こんな計算をするかというと、
これを計算すると、いくらくらい銀行から
お金を借りられるか分かるからです。
その具体的な計算について解説していきます。
積算評価とは
積算評価とは不動産の資産価値を評価することです。
主に2つの方法があります。
「積算法」と「収益還元法」です。
これは基本的に銀行が行う計算です。
では、なぜ私たちが計算するかというと
銀行から融資を受けられるであろう金額の
おおよそを求めるためです。
例えば、物件評価額が2000万円、
物件価格が3000万の物件を銀行に持っていったとしましょう。
ここで何も考えず銀行の担当者に、
「3000万円貸してください。」
と、言って借りられるでしょうか?
普通はダメですよね。
門前払いされると思います。
でも、ここで、
「物件の評価額は2000万円です。」
「でも、手持ち資金が500万円しか無いので
2500万を融資してもらえませんか。」
と、言えば銀行の担当者も、
「なるほど、物件価値を超えた融資を受けたいんだな。」
と、理解できます。
ちゃんと物件の価値を理解して
銀行に来ているのかどうかが分かるんです。
銀行だって何も理解していない人にお金を貸したくないですよね。
ここで、言葉は大事ですよ。
銀行は「不動産投資」にはお金を貸さないですから。
×不動産投資 ◯不動産賃貸業
×お金を借りる ◯融資を受ける
銀行は「事業」にお金を貸しているんですよ。
郷に入れば郷に従え。
銀行の言葉に合わせることが必須です。
基本的に「積算評価=融資額の上限」で考えて良いでしょう。
つまり、自分の受けられる融資額の目安が分かるんですね。
では、どうやって計算していくのでしょう?
具体的な計算方法を説明していきます。
積算法と収益還元法
「積算法」と「収益還元法」のそれぞれについて解説していきます。
積算法
これは土地の評価額と建物の評価額をそれぞれ計算して合算する方法です。
まずは土地の評価方法ですが計算式は次のとおりとなります。
土地評価額(円)=土地の広さ(m2)×相続税路線価(円/m2)
で、計算することができます。
例えば、敷地面積が80m2、相続税路線価が15万円のときの評価はいくらかというと、
土地評価額=80m2×15万円=1200万円
と、なります。
敷地面積はは通常は広告に書いてあります。
だたし、区分マンションの場合は
ちょっとテクニックが必要です。
不動産屋さんから広告を入手してください。
そこに建物の面積と土地持ち分という分数が書かれています。
例えば、敷地面積3000m2、土地持ち分が6/1000と書かれていたとします。
土地持ち分=3000m2×6/1000=18m2
つまり、18m2がその部屋の持ち分になります。
一度、実際の物件で計算してみてください。
区分マンションの土地持ち分がいかに少ないか分かります。
ここで相続税路線価をどうやって調べるのか?
資産評価システム研究センターが提供する
全国地価マップというものがあります。
これで調べることができます。
この紫の枠のところをクリックしてください。
あとは郵便番号や住所から物件の場所を見つけてください。
その物件の前の道に例えば
「150D」とか書かれています。
これは相続税路線価が「150千円」
つまり15万円であることを表しています。
CとかDのアルファベットは借地権の
評価をする場合の割合を表しています。
今は無視しておいてください。
ここでひとつ問題。
角地はどっちの路線価を使うのか?
角地の物件の場合、2つの道路に接して2の路線価があります。
こういう場合、どちらを使えば良いか分からないですよね。
これにもルールがあって一般的に、
相続税路線価=高い方の路線価×1.1倍
で、計算します。
本来の目的は相続税の計算ですから高くなるようにして当然ですよね。
次に建物の評価です。
建物の評価額は次の表で決まっています。
再調達価格 | 評定耐用年数 | |
---|---|---|
木造 | 15万円/平米 | 22年 |
鉄骨造 | 18万円/平米 | 34年 |
RC/SRC造 | 20万円/平米 | 47年 |
この再調達価格は新築のときの価値を表しています。
例えば100m2のRCのマンションであれば、
100m2×20万円=2000万円
と、なります。
この評価額は購入金額とは全く関係なく
どんな建物でも構造によって一律に決められています。
先ほど、これは新築のときの価格だとお話しました。
では、中古物件はというと?
そう、価値は下がるんです。
中古の場合は次の計算式で計算できます。
例えば先程のマンションが築10年だったとして計算すると、
物件評価額=100m2×20万円/m2×(47年ー10年)÷47年=約1574万円
約1574万円となります。
この計算式、物件の築年数が法定耐用年数を超えたら計算できないですよね。
そう、そうなった物件は無価値、つまり0円となるわけです。
だから法定耐用年数オーバーの物件は融資が付きにくいんです。
最終的な物件評価額は
物件評価額=土地評価額+建物評価額
と、なるわけです。
マイホームをお持ちの方は練習がてら自宅を評価してみてください。
「えっ!!」ってなると思いますよ。
収益還元法
収益還元法は直接還元法とDCF法の2つがあります。
まずは収益還元法ですが次のように計算します。
年間純利益は年間の家賃から管理費などの全ての経費を引いたあとの手残りのことです。
還元利回りはこの物件を持つことで得られるであろう利回りのことです。
計算式は非常に簡単です。
年間純利益は実質利回りを
ちゃんと計算できれば求められます。
実質利回りの計算は下の記事で勉強してください。
さて、今回は不動産のリアルな収益が 丸わかりになる計算について話していきます。 不動産投資するとき、当たり前なん…
問題なのは還元利回りです。
求め方は「周りの物件の利回りから算出する。」です。
でも、他人の物件の利回りなんて分からないですよねぇ。
正直、個人レベルで正確な計算は難しいと思います。
ひとつの方法としては狙っている物件の周りに
売り出されている物件の利回りをいくつか計算すれば
出せますが結構大変だと思います。
次にDCF法ですが一定期間の保有に対して評価する方法です。
ちょっと計算式にするとややこしいので例を上げて説明します。
例えば3000万円の物件があり
年間の利益が180万円の物件があります。
これを5年間保有したとします。
これが年間3%ずつ価値が下がるとします。
まず、物件価値ですが、
物件価値=3000万円×(1-0.03)5=2576万円
次に収益の価値ですが、毎年3%ずつ家賃が下がると考えます。
収益価値=180万円+180万円×(1-0.03)+180万円×(1-0.03)2+180万円×(1-0.03)3+180万円×(1-0.03)4=848万円
物件評価額=2576万円+848万円=3424万円
と、計算できます。
問題は下落率の設定です。
これをどう設定するかがポイントとなります。
収益還元法の難しいところは
単純に求められない係数があることです。
銀行によって使っている係数は違うと言われています。
もちろん、オープンにはなっていません。
私としても興味のあるところなのでこれからも
追求して何かあれば記事にしたいと考えています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
もし、かぼちゃの馬車のオーナーが知っていれば積算評価に対して
高すぎる物件だったことが判断できたでしょう。
これは残念な話ですが、知識が無いとこうなるわけです。
これから不動産投資を始めようと思う方は勉強して、
積算法だけでもできるようになってください。